門限の9時

ここに無い魔法 帰りの電車

レクイエムなんかいらない

新年早々、推していたK-POPのアイドルグループX1が解散を発表しました。正確にいうとグループの所属事務所から解散の発表がありました。


ご挨拶遅れました、あけましておめでとうございます。しかし、上記の通り私は全然めでたくないんです。不謹慎ですが新年早々喪中気分です。
昨年8月にデビューしたグループがもう解散したんですよ。8月にデビューして、歴代新人グループが打ち立てた記録塗り替えたグループがですよ、信じられます?信じられないんですよ、これが。

 

解散の発表があった6日夜からいろんな人のいろんな反応をTwitter上で見ていました。悲しんでいる人はもちろん、怒っている人もいました。狼狽えている人も受け入れられない人もいたし、ファンの数だけ受け止め方があるのだとも思いました。そして一夜明けたら、なにやら精力的に動き出した人たちもいましたし、切替の早い人もいました。X1活動再開を諦められず声を上げる人もいました。諦めてメンバーそれぞれの道を応援しようと、幸せを願おうとする人もいました。さらに、ファンに向けて謝るメンバーも現れました。X1とそのファンに同情し慰める人も現れました。
たしかに私も、解散を知った6日夜は、悲しみ怒り狼狽え納得できず途方に暮れました。でも、今は嫌でも過ぎゆく時間に紛れて慣れてしまっていくような気がしています。何も考えずに過ごしていたらこのまま慣れてしまうので何か考えなければいけないと思うのですが、頭が動いてくれないという不思議な状況です。
ですが、思い虚しく時間の流れと共に状況も変わっていきます。メンバー全員が解散を受けてファンへコメントを出したのです。しかもX1としてではなくそれぞれの所属事務所を通じて。
さらにFCの会費返金も順次行われる発表がされ、日々解散してしまった事実を受け入れざるを得ないことが続きました。ついには、X1に関わったスタッフたちがX1解散を惜しむコメントをSNSでしたり、メンバーが個人インスタを開設し始めたりしました。
本当にX1はバラバラになってしまったんだなと、この事実の羅列で受け入れざるを得ません。

一方で、6日に開かれたX1の今後を決定する協議において、存続する/しないの決定方法が参加した各所属事務所代表者の投票(存続なら◯、解散なら×を記入)による多数決だったとか、メンバーから協議に参加したいとの申し出があったが所属事務所が拒否しただとか、メンバーは協議に参加し存続の意を伝えるつもりだったとか、解散決定後のメンバー全員で最後の挨拶をしたいという提案も却下になったとか…こういう時ってどこからともなく報道なのか憶測なのかもわからない情報が流れてくるものですが、もしなにかひとつでも事実だとするならば、行われた協議が公正明大さに欠けていたようにも感じられ、上層部の、言ってしまえば無関係な大人にグループの今後を決められ、しかも今後のない未来を選択されてしまったということで、納得できないなと思うのです。

しかし現実は、X1の解散を受け入れて進んでいて、先述のとおりこの件は終着に向かっているのだと思います。けれども、やっぱり私は未だに心のどこかで、この決定が覆ってくれないかなと強く思っています。解散撤回を求める動きに賛同し関与するわけではないですし、志半ばでグループ解散を余儀なくされたにも関わらず、前に進もうとしているメンバーを応援しないわけではありません。むしろ応援しかしません。それは大前提ですし、X1として全員が揃うことはないのだというのは決定事項ですから仕方のないことかもしれません。
でも、そもそも解散という着地点が最善だとは、やっぱりどうしても思えないのです。悪あがきかもしれません。もう覆らないことをあれこれ考えたって時間も労力も無駄だとは思っています。
でも、私はこんなふうに一方的に解散を告げられ、真意を確認することもできないまま受け入れるしかなかったメンバーにどんな言葉をかけたらいいかわからないし、X1がいた時間楽しかったよ、ありがとう!とレクイエムのようなきれいな言葉を並べることもできません。
X1をよき思い出にすることもできない。もちろん振り返ることだってできませんし、したくないです。

あの夜のあの気持ちや混乱は少し落ち着きました。けれどとてももやもやしています。受け入れてはいないけれど受け入れざるを得ないので、受け入れられないことだとは思っていません。なんとなく時間の流れに身を委ねていれば、どうにか適応していくのではと思っています。
でも、何度も言うけど理解ができないんですよ。心より頭が追いつかない。急な解散だからとかじゃなく、落ち着いて考えても、X1の解散に賛同できる理由が見当たらないのです。正当化できないのです。善と思えない。だから、私にレクイエムを歌う気はさらさらないし、誰かのレクイエムに耳を傾ける気もない。もはやそんなもの歌うなと思うくらいなのです。

解散、存続いずれにしてもリスクがあります。どちらにしても票数操作の風評被害は受けると思います。でも、どちらかと言えば解散より存続には希望があるように思ってしまいます。11人で乗り越えようという物語の方が夢がある。協議をした人たちにそう感じてもらえなかった理由はなんなのか、解散に投票した関係者の意見というのが私の凝り固まった思考回路では想像できない。

納得できないところはそれ以外にもあって、
X1が解散すればこのプデュ騒動が一件落着するのかといったらそうではないと思う。では、なんのための解散なのか。
コメントを見る限り、メンバーの中に解散派はいないように感じる。
というところなどなど。
どの方面に対しても、説明も足りないし、誠意も足りないし、愛情も足りないなと思ってしまうんですよね。求めすぎですかね。

 

彼らX1というグループは、「PRODUCE X 101」というオーディション番組から誕生しました。韓国の芸能事務所に所属する練習生101人からデビューメンバー11人を視聴者投票で決定する、という常軌を逸した企画で人気と話題を集めた番組です。「PRODUCE X 101」を含む全4シーズンを通して誕生したグループはどれも、デビューすればその年のK-POPシーンの中心的存在として活躍してきました。それまでの、事務所で歌とダンスの訓練を受けスターとして育成され、完成された状態でデビューをするというK-POPアイドルの常識を覆すような育成型、応援型アイドルを誕生させ、そのグループが韓国のみならず全世界で活躍するという夢のあるストーリーに多くのファンが魅了されてきました。
しかし、この番組の一番の特徴である視聴者投票の結果が、なんと操作されていたという疑惑が浮上。その疑惑が浮上したのは「PRODUCE X 101」最終回のデビューメンバーの得票数がおかしいというという指摘が発端でした。
この番組から誕生したX1グループは、誕生した瞬間から票数操作によって結成されたという疑惑と共に歩み始めました。
この疑惑のおかげで、X1には企業のスポンサーがつかなかったり、地上波の番組に出演できなかったりなどという不都合や制約を強いられました。
結局この疑惑は疑惑でおさまらず、警察沙汰もいいところ、プロデューサー逮捕、関係者家宅捜索などなど立派な犯罪事件となり、その影響でグループは活動休止を強いられました。
プロデューサーは全シーズンにおいて部分的に順位入替をしたことを認めましたが、IZ*ONEを輩出したシーズン3とX1のシーズン4に関しては、事前にデビューメンバーと順位を決めていたと供述しました。

オーディション番組の放送前から、この番組を通して結成されるグループの活動期間は5年で、最初の2年半を専任期間とする。というような発表がされていました。
一つ前のシーズンでデビューしたIZ*ONEは2年半、その前のWanna Oneは1年半、最初のシーズンでデビューしたI.O.Iは半年でしたので、第4シーズンで急に5年という期間を設定してきたことは大きな違和感ではありました。
この入れ替わりの激しいK-POPというレッドオーシャンな市場で、しかも番組に参加する練習生も決まっていない段階で、5年の活動期間はどう見積もることができるのか、誰がマネジメントするのか…始めから専任期間を終えたら全員掛け持ちしたり他仕事したりなあなあになって行く未来が見える、と思ったと同時に、このグループのファンになればあと5年もオタクでいられる!というのがとても楽しみに思い、不安要素はなんとなく感じながらも番組を観始めました。

元々、シーズン1から、放送内での練習生の取り上げ方に差がある、特定の練習生がチームワークを乱しているように受け取れてしまうような編集で人気を落としてしまう、などという分量格差に対する不平不満が多かったり、不自然な順位変動(シーズン2のキムジョンヒョンやシーズン3のイカウンの脱落など)に疑念の声が上がっていたりと、放送内容を不審に思う視聴者もいました。
逆にそれほどまでに、この番組に参加することで得られる注目や人気は、練習生、そして事務所の今後を左右するほどの影響力があるものにいつしかなっていました。

という、番組の特性と騒動だったが故に、結成されたところからX1の周囲には、常にアイドルグループには当たり前である応援をするファンの存在とアンチという心ない言葉を投げる存在、そしてそれとはまた違うグループを解散させようとする勢力の存在がありました。
「彼らのデビューを決めた投票数に操作があったから、彼らの存在は認められない」という主張です。それにX1はオーディション番組から結成されましたから、彼らが選ばれた代わりにデビューできるはずだったのに落選した者がいるというのも厄介でした。X1の生い立ちに不正がある。不正は正すべきだ、不正したら裁かれるべきだ、正しい順位のメンバーで再結成すべきだ…夢への扉を開こうとしているその瞬間から、X1の存在自体を否定されるような声が結成当初から付き纏っていました。
でも、彼らはその風評被害を跳ね除けて、歴代の新人アーティストが打ち立てた記録を大幅更新し、数字で結果を残しました。
私は、この結果が、単に「メンバーは悪くない」という向かい風からの擁護だけで成されたものではないと強く思っています。X1は、確かに番組の票数操作という不正によって選ばれたメンバーで結成されたかもしれないけれど、X1のファンは、視聴者投票のオーディション番組を勝ち抜いたメンバーで結成された、というところだけに価値やアイデンティティを見出しているわけではない、故にX1の価値やアイデンティティはプデュ以外のところに見出されているということのなによりの証明になると思うのです。

人は良いことも悪いことも忘れるものです。思う以上に人は忘れるものです。そして、過去より今見えているものや今の気持ちを優先させる都合の良さもあります。
だから、風評被害を克服し、X1の存在を否定する声や勢力を少なくすることは容易いのではと楽観的に考えていました。
それより、解散や活動休止になったことによる失敗に終わったアイドルのレッテルや活動予定や体制、内容の不確実さ、解散して所属事務所に戻り、新しいグループを結成したとしても集中的に誹謗中傷を受けるリスクのほうが深刻なのではと私は思っていました。

でもそうではないのですね。
活動休止になり再開できる見込みなど全くなかったのに、勝手にまた会える希望を抱いて、それが叶えばいいと強く願いすぎていただけの話なのかもしれません。
客観的に第三者からしてみれば、賢明と思われる決定なのかもしれません。
でも、やっぱり無念です。手放したくない。
どんな結論でも受け入れるしかないし、受け入れられなくてもきっと慣れていくけれど、メンバー全員が幸せになることが正しい着地点であることは不変です。ファンの顔色伺った幸せではなく心から幸せになることです。その形がX1である必要はないけれど、もれなく幸せになれるということが約束されているわけでもない決断をするくらいならもう少しX1として幸せになることを追いかけてほしかった。そう思います。
そして、伝えたいのは、X1の存在価値は、プデュ出身という中ではなく、メンバー11人の個性や魅力や努力や本気、真面目さや頑張り、そして絆、関係性といった中身全てにあったということです。間違いなく、X1はプデュ出身という看板以上の価値と魅力を備えたグループに成長しようとしていたし、そういうグループでした。思い出になるなんて本当に勿体ない。それくらい眩しい未来のあるグループでした。
あえて言いますが、私はそんなグループやメンバーに出会わせてくれたMnetとPRODUCE101シリーズに感謝しています。
この騒動で沢山の方々心を痛めたり、悲しい思いをされたと思います。不正や操作自体は一生懸命に番組に参加していた練習生に失礼だし、ファンにとっても心外だし、間違っていることです。でも、全部なかったことにされるほど、全部消し去らなければいけないほど、悪意にまみれたものでもなかったのではと思います。
思いがあったし、愛もありました。
MnetやCJという企業の利益目的と利益を出さねばというプレッシャーからの操作ということではありましたが、プデュから生まれた全グループそれ相応の素晴らしい活躍だったことは間違いありません。楽しませていただきましたし、恩恵を受けたし、グループの存在が好きなアイドルの存在が毎日の生きがいにもなっていました。
それを奪われたことへのショックを都合よくX1の解散と重ねてしまいました。

絶対に慣れます。また会えたら今思っているこのもやもや絶対に消えます。
なので、追悼はせず、空に灰を撒くかのように葬って、変わらずメンバーにまた会えることを楽しみに待っていようと思います。

 

 

とりあえずHey!Say!JUMP福岡公演私的オーラス行ってきます!また推敲しますので悪しからず