門限の9時

ここに無い魔法 帰りの電車

弾丸宮城遠征記〜計画性ゼロの新入社員〜①

 

事の状況が大きく変わったのは、週の始めに届いた1通のメールだった。

 Hey!Say!JUMPのコンサートツアー宮城公演における「制作解放席」募集お知らせ。

それまで、「制作解放席」など、10時ちょうどに電話を掛けても既に終了しているプレイガイドのチケット販売のように、あってないものだと思っていた。

しかし、藁にもすがるような思いで仙台公演に固執する自分がいるのもまた事実であった。

なぜなら、私は八乙女担でありながら、自担の地元であるこの宮城公演に1度も入ったことがないからだ。学生時代は、365日金欠で、自宅から最も近い横浜公演のチケット代とグッズ代を捻出することで精一杯だった。今年の春、ついに社会人になった私は、自分の稼いだ給料で自担の地元凱旋公演に行く夏をそれはそれは楽しみにし、夢に見ていたのだった。

 

(これはチャンスだ、社会人、実家暮らし、金はある、土日休み…いける!!)

私が暮らしている静岡県極西の田舎町から580km以上離れた宮城という土地で行われるコンサートに、わずかな希望を抱きつつも半ば冗談半分で申し込んだ。

 

終わってみれば、コンサートまでの一週間は、仕事でバカみたいに嬉しいことと辛いことが畳み掛けてきた怒涛の一週間だった。会社で週2回も大泣きをした。怒られた。ふいに大好きな友達から飲もうというお誘いを受けた。褒められもした。出来なかった仕事が1つ出来るようになった。冗談半分で申し込んだとは言っても、内心では、そういう一週間の先に、愛する自担に会えるという予定があればどんなにいいかと思って、毎日過ごしていた。

当選結果が分かるのは金曜の夜だった。私はその翌日の夜公演を申し込んだ。本当はゆとりを持って準備ができる日曜の昼公演が良かったが、台風など天気の影響で電車が止まって月曜日会社に行けないなんてことになってはいけないと思い、往路は多少ドタバタしても復路には余裕を持たせることにした。

 

金曜は、仕事が長引いた。

年次の近い先輩がみんな帰ったあと、1人で更衣室に行き、メールボックスを開いた。

当たってしまった。

一週間、仕事が辛いときは、「その分、当選という形で返ってくる!」なんて自分を励ましながらやっていたくせに、実際に当選という文字を見たときに、一気に現実味を帯びて、580kmを無計画に行き来しようとした自分をそれはそれは愚かだと思った。

 

事前に「コンサートに申し込んだので、当たったら土日仙台に行くことになる、それが金曜の夜に分かる」という旨を家族に話していたため、母から「どうだった?」とLINEが来ていた。「当たった」と返すと、「バカめ  萩の月買って来て」とだけLINEが来た(笑)。

 

バカだ。そりゃそうだ、バカでしかない。コンサートに入ることは決定したが、交通手段も、宿泊するのか、日帰りするのか、日帰りなど出来るのか、そもそも金曜の夜に当選通知を受け、朝出発したところで辿り着けるのか、1つも分からずに、浮かれる気持ちとやってしまったという気持ちでとにかく家路を急いだ。

自分でもバカだなと思いながら、新幹線を調べ、帰りの夜行バスを調べ、ホテルを調べた。

会社から自宅までのドア to ドア30分の間で、明日朝乗る新幹線を決め、 夜行バスで帰るのか一泊するのかを決め、泊まるホテルを予約した。

人間その気になればなんでも出来るわ。

家に着いたとき、ホテル予約のために使ったクレジットカードを手に握りしめており、家族にさらにバカにされた。

 帰宅時間は19時を過ぎていただろうか。そこから食事をし、明日からの遠征準備をバタバタと始めた。

 

 

土曜

7:30

家を出た。平日とほぼ変わらない時間だ。最寄りの新幹線の駅まで父に送ってもらった。新幹線のチケットを往復分買い、8:20発の新幹線に乗った。

新幹線に乗って1時間が経った頃、制作解放席のチケット引き換えに必要な持ち物であるファンクラブ会員証を忘れたことに気づいた。

余裕を持って出てきたが、最高時速200kmの1時間だ。引き返せるわけがない。焦り。ずっと財布に入れているつもりでいた。会員証どこいった。

まず、探してもらおうと母親に電話をかけた。心当たりの場所をとにかく探してもらい、なんとか会員証を発掘してもらった。念のため会員証の写メを両面送ってもらった。

これで入れると決まったわけではないのだが、慌てていても仕方ないと思い、気を取り直して、新海誠の「秒速5センチメートル」を観た。周りはみんな良いというけど、そんなにかなあと思う。自分の行間を読み取る力のなさに愕然とする。でも「君の名は。」見たいなあ。あの中だったら「コスモナウト」が一番好きだなあ。

 

10:30過ぎ

ようやく東京駅に着いた。まだ東京だ。社会人になってから頻繁に東京に行っているが、毎回品川か新横浜で降りるので、東京駅自体も久々で戸惑った。仙台も数年前に1度行ったことがあるが、新幹線を使って行くのは初めてだったので、東北新幹線の乗り場でもソワソワしていた。

東北新幹線は、東海道新幹線の比じゃないくはい混んでおり、座れたことに一安心した。途中寝たり、スマホをいじったりしながら、林真理子の「失恋カレンダー」という本を読んだ。読みやすくて面白い。

 

13:00

仙台到着。とりあえずお腹空いた!駅ビルのカフェ的なところでパスタを食べた。ジャニヲタばっかりだった。

 

13:30

仙台から東北本線に乗って会場へ。なかなか電車が混んでいたが、岩切までも利府までもなんとか座れた。

利府駅の何もなさに驚愕。そこにブリブリのワンピース着たヲタクとか花冠着けたヲタクとかメンバーカラーの派手な服着たヲタクがすごく浮いていて、なんの変哲もないトップスにジーパン、スニーカーというシンプルな格好をして一人でいる自分の方が逆に浮いていたような気がした。

ヲタクの流れに身を任せ、バス乗り場まで行き、普段は何をしているのかわからないちょっとイケメンな案内係のお兄さんに導かれるままにバスに乗った。

バスは5分置きくらいのペースで出発していたような気がするから、待った感じもなかった。

 

14:15

会場着。チケットの引き換え開始時間が15時だと思っていたら15時半だったことにバスの中で気付いた。暇なのでグッズ列に並んだ。並んでいる間も暇なことに変わりはないのだが、グッズを買おうという目的がある方がまだ退屈しない。

お友達の代行分と、仙台で光くんグッズの売り上げに貢献しようという魂胆で、すでに横浜で買ったうちわをもう1つ買い足した。

明日エルを歌うというのにタオルを持ってくるのを忘れたことに気づいたが、タオルは2つもいらないので買うのをやめた。

そのあと、友達と会ってグッズを渡してから、引き換えに行った。

 

15:30

会員証を忘れたと言ったらどんな対応をされるのかと、頭の中でシミュレーションしていたつもりだったが、案外チョロかった。どうせバイトだもの。何も言われなかった、一安心。

引き換えが終わった時には16時を過ぎていたので、そのまま会場に入った。

 

スタンド席で、メインステ側一番端の席だった。なので、視界的にはメインステを斜め後ろから見る形になった。当然、ちょいちょいセットや照明が被る。制作解放席なんてこんなもんだろ。ただ、私の横は通路で、そのまま階段でステージに繋がっており、スタトロ時に期待出来る席だった。メインステは見にくいがスタンド5列目内なので、コンサート始まってしまえば普通に良席。むしろ神席。

 

 

光くんがこちらの方に来るまでの間に圭人が来たり伊野尾ちゃんが来たりしたけど、光くんが来てくれた時は、本当にドキドキして、まあ過呼吸みたいになったよね笑

圭人が来ても伊野尾ちゃんが来ても、光くんのうちわを持ち続けて「光くん出せや!」って念を送っていた。

光くんはほとんど背を向けていたけど、メインステの真ん中の方に戻る時に、私の顔は見ずに「光」と書いたうちわを見た。

その後、ファンサタイムの時にこちらの方に手を振りに来てくれて、今度はちゃんと顔見て、目合って、ニコッとして3秒くらい手を振っててくれた。「もう見ないで!」って思うくらい長く感じたから一瞬の話じゃなかった。

「後ろにも八乙女担いたんじゃね?」って思われるかもしれないけど、光くんが立ち去って真っ先に後ろ振り返って、黒い布で潰された座席と機材しかないことを確認して勝ち誇った。←

 

予想通り、私の席の横の通路は、スタトロを降りたメンバーの通り道だった。

まずは裕翔くん。あまりの美しさに引いてしまったら、隣の席のお姉さんがガンガン押してきたのでその勢いで裕翔くんにめちゃくちゃ近づいてしまった。裕翔くん苦笑い(笑)ごめんよ…。

続いて雄也。普通に手を出してくれたのでハイタッチ。すっごい良い匂いがした。手にも匂いがついて帰り道でずっと嗅いでた←

最後に圭人。今回の公演で1番圭人と仲良くなった。よく私のいたブロックに来てくれて、その度に私が「光くん呼んでこい」と言わんばかりにうちわを見せていたので、多分なんだこいつと思われていたと思う。圭人もハイタッチしてくれた。ニコニコで可愛かった。

 

 

「My Girl」は真横から見たんですよ。山田くんのダンス真横から見るってなかなかないじゃないですか。しかもなんにも遮るものもなくて。やっぱり山田くんのダンス好きです。気持ちが伝わるっていうか、キレキレだしね、全身で踊るし、なにより魂もってるじゃない。どの振りも手を抜かない、全力。だから、山田くんなんだなーって。最近は、俳優としても大活躍してるし、バラエティも頑張っているけど、やっぱり山田くんのアイドルとしての表現だったりパフォーマンスが私は凄く好きだと思う。山田くんのダンスって山田くんの真っ直ぐすぎる性格とか重いくらい熱くなる感じとか、山田くんの全部が伝わる。と思って泣けてきました。担当じゃなくなったのでそれだけだけど。(ツン)

 

光くんは、最近メンバーが好きすぎるでしょ。あとファンも好きすぎるでしょ。っていうか、すごく真っ直ぐ「好き」を表現するようになったよね。若さが邪魔をして素直になれないことってあるけど、光くんもきっとそんな感じだったのかしら。光くん、人からすごく影響受けるタイプだから、これからも周りの人には光くんに良い影響を与え続けて欲しいし、光くんをたくさん愛してほしい。お前何様だよって感じだけど(笑)

でも、八乙女さんの愛情表現なかなかに面倒くさい(笑)

 

コンサート中、光くん好きだと思った瞬間とか気づいたこととか。

光くんの魅力ってなんだろうなって考えた。たくさんありすぎるんだけど、全部まとめたら、「ファンはこんなに見てんのに、光くんは気づいてなさそう」なところなんだと思った。猫みたいに気まぐれで、自由で。かっこいい光くんが見たいって言うのにふざけたり、変な髪の毛の色にしたり…全然思い通りにいかないところ。急にアクセサリーつけたり、ファンサするようになったり、なんなの?って思いながら、そのなんでを必死に考えさせられちゃう。答えを持たない人だなって思った。

そういう人だから、私は担当になったんだと思うし。

 

席が席だったので、メインステ側からアリーナ席を一望できたんですね。ああ、Hey!Say!JUMPはこういう景色を見ていて、ファンはHey!Say!JUMPを前にこういう表情をするんだってジーンときちゃって。

歌ってるときとか、メンバーみんな真っ直ぐ前を見ていて、すごく「今」と対峙してる感じがした。アイドルは偶像だとか、夢とか空想とか非現実的なイメージで語られがちだけど、本当は誰より「今」が全てな生き物だなって思った。私たちファンは、そこに夢を見たり恋をしたりするんだろうけど、アリーナ席のファンたちのキラキラした顔見たら、あの笑顔を君たちは全部背負って守っていかなきゃいけないのよ!って思った。

あまりに知名度が上がって、自分名義が全滅して、やりきれない思いもあったけど、そうやってHey!Say!JUMPを見つめて、Hey!Say!JUMPに期待する人たちがたくさんいるってことが、Hey!Say!JUMPを輝かせるんだなって心の底から思った。

 

良い調子で遠征記書いていたはずなのに、お得意の語りモード入っちゃいましたね(^_^;)

これ以上、面倒臭いテンションが続くと私自身もいろいろ見失うので、ここまでを①ということで。続きは改めて書きますね。いつもこんなんでごめんなさいね。笑

 

今月上旬の金曜日に、私がジャニヲタだと知らない会社の同期の男の子に、何気なく「明日なにするの?」って聞かれたので「横浜アリーナにHey!Say!JUMPのコンサート観に行く」って言ったら、「自分見失ってるやん(笑)」と笑われたけど、むしろジャニーズ事放置してリア充しようとしていたこれまでの方が自分見失ってたと思います(笑)

飲んで遊んで現実は充実するけど、心はしっくり来てなかった気がするよ。"自分らしさ"って難しいなと思う。光くんに"らしくない"と思ったことは今のところない気がするのですが、きっと光くんにもしっくり来たり来なかったりすることがあるんだろうなと思います。

でも、Hey!Say!JUMPとして過ごす時間や、Hey!Say!JUMPの八乙女光は、しっくり来ていてほしいなと思う。そうならば、外見をどうしたって、髪が明太子色してたって、テールスープ色してたっていい。私もしっくり来る自分見つけます。(あれ、これが自分見失ってるってこと??笑)