門限の9時

ここに無い魔法 帰りの電車

君だから

とことん脱け殻のようです。
(JUMPaper 2014/09/21)

相変わらずの虚無感が続いています。
(JUMPaper 2014/11/23)


彼の21歳は、こんな言葉からスタートした。


19歳から20歳の変わり目は、出演したドラマ『半沢直樹』が空前の大ブームとなり、彼は一躍「半沢俳優」の名を手に入れた。20歳から21歳の変わり目は、念願の連ドラ初主演作『水球ヤンキース』に燃えていた。

業界に求められている。
彼の俳優としての活躍は、誰がどう見ても順調そのものであったが、21歳を迎えた本人は、ファンの目に付くあの場所でこんな言葉を呟いた。


それから月が変わり、俳優・中島裕翔は、エランドール賞新人賞の候補者となった。
『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』『水球ヤンキース』での活躍を認められたのである。
惜しくも受賞は逃したものの、20歳の彼の頑張りが21歳になってから結果として認められた。


年が変わり、彼は月9ドラマへの出演を果たした。
当時のインタビューで、彼はこう話している。

「あー仕事したい!」って虚無感みたいなものを感じて。
(略)
忙しくしている方が好きなんだなって、あらためて思った。
(TVガイド PERSON Vol.29)

Hey!Say!JUMPとは、中島裕翔の成長のことである
と、私は常々思っている。

今日まで、誰よりも立ち止まって、傷ついてきたこともあったと思う。彼はそれを一つも無駄にしなかったし、逃げなかった。人より時間はかかったかもしれないけど、その分ゆっくりゆっくり、そして確実に大人になっていると思った。
10代から20代の「早く大人になりたい」と一番強く思う時期に、背伸びせず、奢らず、11/23の更新の話を借りるなら、クラシックカメラのように一瞬一瞬と向き合ってきたからこその今なのだと私は思う。

実年齢より年上の役も演じ切った。彼が役と共に大人になっていくことで、グループも大人になっていけるのではないかと思っている。



そして、3月に発行されたFC会報にて、裕翔くんは、「山田洋次監督作品に出たい」と夢を語った。

誰もが羨むようなキャリアを確実に重ねた彼の夢ほど、応援したいものはないと思った。その夢を叶えるその日まで、裕翔くんの俳優への挑戦は続くと思った。


1月から出演していたドラマ『デート〜恋とはどんなものかしら〜』のクランクアップ時のコメントも印象的である。

みんなが自分を鷲尾にしてくれたな、と思っています。

このドラマの視聴者の、鷲尾くんに対する好感度は抜群で、むしろ、多くのファンに「中島くんだから良かった」と言われるほどであった。その言葉は、『半沢直樹』の時にも同様で、滑舌の悪さも含め一生懸命さが役にも表れ、台本に無かったという第3話の泣きの演技では、共演者をも唸らせた。

「裕翔くんだから良かった」は、最上級の褒め言葉であることに違いないと思うと同時に、これを自分から脱却していくことに俳優中島裕翔の真価が問われるのではないかと個人的には思う。
他にもこの役が出来た人がいるとか、未熟な部分があるとか、そういった意味もなんとなく含まれているように感じ取れる部分があると思うからだ。



そして、5月、初の映画出演が決まった。初出演、初主演である。

恐ろしいことに、5年前の2010年にアイドル誌で「2015年に映画に主演」と人生プランを立てていたと言うから凄い。

デビューしたばかりの頃、V6の岡田くんに「映画向きの顔だね」と言われたことをテレビで嬉しそうに話していた。その言葉はファンの私でも強く印象に残っているし、素直に頷けるものであったから、本人はそれはそれは意識せずにはいられない言葉だったのではないかと思う。


今では映画やドラマに引っ張りだこのV6岡田くんは、2013年のフィルフェスで、「ある瞬間に『映画に行け』と言われた」と言っていた。
岡田くんを始めとする役者として活躍する先輩方も、ずっと活躍してきたわけではなく、「20代と30代では演じる役柄が変わってきた」という言葉のように求められるものに応え続けて今があるのである。


役を演じる仕事であるのに、最も自分自身の幅や深さ、変化が求められる仕事でもある。


Hey!Say!JUMPの中で、裕翔くんは成長をし続けた。先輩方の言う尖った時代はなかったが、悩み苦しんだ時間がある。
それはきっとこれからもそうであり、悩み苦しむことを成長を持って正当化していくのが中島裕翔の凄さだと思うのだ。

そしてそれは、着実に俳優業にも生かさている。


今は「中島裕翔だから良かったんだ」と、評価が後から着いてくる。ドラマの放送時に爆発するような役者になって欲しいし、「中島裕翔だから良いに決まってる」と思われるような役者になれと願っている。


ジャニーズではなく、俳優として勝負をしようとする者に、ジャニーズの看板は、有利に働くことばかりでなく、時に不利に働くこともある。
だからこそ、先輩方は「他の俳優さんの10倍20倍努力をしないといけない」と言うし、そういう環境で戦うからこそ輝くのである。

裕翔くんの「虚無感」も、きっと一見恵まれた環境の中での葛藤なのだろうと思うのだ。


デート後の裕翔くんは「虚無感」を感じていなかった。
ジャニーズの看板を背負いながら、同世代の俳優たちと同等に戦えるのはきっと彼しかいないのだ。


時代を取り戻してほしいのである。
夢を叶えてほしいのである。
夢でなく現実になると確信しているのである。


Hey!Say!JUMPという小さな世界、お芝居という大きく果てのない世界。
そんな隣接しているようで全く違う二つの世界を結ぶのは、まぎれもなく努力なのである。努力しかないのである。
きっと、お芝居における努力とは、自分と向き合うことなのだと思う。


自信とか才能とかそんなの要らないのだ。
自分を高めようという気概と、自分から逃げない、自分をさらけ出すことを恐れない強さを持った者だけが、夢を掴むのだ。


今はまだまだ夢の途中である。
きっと、裕翔くんの夢はHey!Say!JUMPの夢の先にある。
私は、その夢までの奇跡を見ていたい。

何度苦しんでも、どんなに悩んで辛くても、その一歩一歩が必ず夢に繋がっていると信じたい。

そこで出会う人々との繋がりを、夢への原動力にして歩いて行ってほしいです。

周りと比べる事なんてない。
同世代のジャニーズとも違うし、同世代の俳優とも違う。


裕翔くんの目の前には、裕翔くんにしか歩けない、裕翔くんのための道があるのだから。



中島裕翔くん、22歳のお誕生日おめでとうございます。
富士五湖のとある湖のほとりより、敬意を込めて。*1

*1: 合宿中なうw