門限の9時

だんだん未来広がってく

制作陣から見るHey!Say!JUMP音楽史と「JUMPing CAR」

Hey!Say!JUMPの楽曲の変遷を辿ってみたい。
ふと思い、今年の年明けに、たまたま古本屋で買った2009年発売の嵐の特集雑誌*1の存在を思い出した。
その中に書かれている「決定版!嵐ソングス クリエイターMAP」がとても興味深かったので、Hey!Say!JUMPの楽曲も制作陣にスポットを当ててみようと思い立ち、今に至る。


「制作陣から見るHey!Say!JUMP音楽史」とタイトルに掲げたように、楽曲を作詞、作曲に分けてHey!Say!JUMPの音楽の変遷を辿ってみようというものである。


兎にも角にも、まず、私が作った「クリエイターMAP」ならぬ、「クリエイター年表」を見て頂きたい。以下の画像を解説する形で進めて行こうと思う。

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分かりにくい上に、作成者本人が見辛い解像度なので、大抵の方、スマホで見ている方は特に、見辛いものとなっているかもしれませんが、簡単に説明すると、Hey!Say!JUMPのシングル&アルバムを発表順に表にし、画像左側で作詞者の変遷を、右側で作曲者の変遷を、簡単に図示してある。

図に書かれている名前は、Hey!Say!JUMPの楽曲に作詞又は作曲で複数回(2回、3回以上)携わっている方のみにさせて頂いた。制作陣の変遷を大きく捉えたかったからという理由である。作詞も作曲も両方やられているというような方もいらっしゃったが、今回は、作詞なら作詞、作曲なら作曲で複数回という数え方をさせて頂いている。また、編曲については、今回は触れていない。


まず、作詞から。
Hey!Say!JUMP楽曲の詞の傾向として、大きく分けて、2007~2008年の王道歌謡曲時代、2010年頃より開拓された個性派乱立時代、正統派キャッチ―時代の三つに分けられるのではないかと感じた。各時代の中心的人物を、図では円で表している。

王道歌謡曲時代

Hey!Say!JUMPデビューした2007年から2008年(2009)頃の楽曲の傾向として見受けられるのが、王道の歌謡曲である。
数々のジャニーズソングを手掛けてきた久保田洋司氏や、ma-saya氏による前向きな詞によって、「平成に舞い降りた昭和のキラキラアイドル」のイメージが表現されていた。
久保田洋司氏は、Hey!Say!JUMP初期の初期、デビュー1年目に発表された楽曲の作詞を担当している。SMAPからスペシャルユニット「トラジハイジ」まで、Hey!Say!JUMP以外にも多くのジャニーズソングを手掛ける名手であり、作曲家の馬飼野康二氏とのタッグは、ジャニーズソングの中でも黄金タッグで、デビュー曲など、グループの名刺代わりとなるような曲を支えている。
ma-saya氏は、「Your Seed」と「真夜中のシャドーボーイ」のシングル曲の作詞を担当。「情熱JUMP」や「Memories」といった作詞も手掛けており、前向きで熱いイメージの楽曲で、久保田氏以上にHey!Say!JUMPの初期を支えている。

初期の楽曲を支えた両者であるが、久保田氏は、初期から歌い続けられ、2012年に音源化さた『ス・リ・ル』を最後に、Hey!Say!JUMPの楽曲に携わっていない。また、コンスタントに楽曲を提供していたma-saya氏も、2011年以降、パタリと名前を消し、この二大作詞家の事実上のフェードアウト(一時的)と共に、Hey!Say!JUMP王道歌謡曲時代は幕を閉じたと言えよう。

個性派乱立時代


シングルが年間で1枚も発売されなかった2009年の闇の時代の終焉は、個性派乱立時代の幕開けとなった。王道歌謡曲時代から楽曲に携わる前向きで熱い歌詞が特徴のma-saya氏はもちろんであるが、何より、2010年に発表された「Romeo&Juliet」「『ありがとう』~世界のどこにいても~」といった超個性的な作詞でファンの心を掴んだ亜美氏が台頭した時期である。もはやお馴染みの亜美大先生は、時代なんて一過性のものではなく、Hey!Say!JUMPと言えば亜美氏と言っても過言ではないほど、多くの楽曲と長い期間、グループに携わって下さっているが、亜美氏がHey!Say!JUMPの楽曲に携わるようになったのが、王道の歌謡曲時代を経て、リリースのなかった2009年を経た、この2010年ということで、楽曲の雰囲気に大きな変化をもたらした。他にも、後に「Chau#」の作詞を担当する藤林聖子氏、現在のHey!Say!JUMPの楽曲の立役者ともいえるVandrythem氏、「僕はVampire」の作詞を手掛けた森月キャス氏といった、個性的な作詞家が、初めて起用されたのもこの年である。また、2010年に発売された1stアルバム「JUMP NO.1」では、6人のメンバーが作詞に携わるという試みもなされ、まさに個性が乱立し、変化や挑戦がなされた時代と言えよう。

正統派キャッチ―時代

2010年頃から始まった個性派乱立時代は2012年まで続いたが、2013年、ついに新時代が到来した。この年は、通称派閥移動の起こった年である。記念すべき10thシングル「Come On A My House」は、まさに正統派であり、キャッチ―を体現した楽曲であった。2010年ぶりにma-saya氏が起用されるといった原点回帰のような傾向と、かわいいJUMPの伝道師亜美氏楽曲も猛威を振るい、また「Ride With Me」では、m-floの☆Taku氏に制作を依頼、ダンスを魅せるパフォーマンスに重きを置き、平成のアイドルとして正統派の模範解答を出すかのような音楽を展開した。

そして、翌2014年には、Vandrythem氏によるキャッチ―な詞がメインとなっていった。
ファンに新代表曲と言わしめる「ウィークエンダー」の作詞、アルバム「smart」での作詞で、Hey!Say!JUMPの楽曲にキャッチ―さをもたらした。

また、お馴染みの亜美氏や森月キャス氏に加え、オカダユータ氏やTaka Ruscar氏といった作詞家を初起用し、さらに初起用ながらに複数楽曲を制作して頂くという新しい風も吹かせた。オカダ氏は、初期の王道歌謡曲を彷彿とさせるような美しい作詞が特徴で、久保田洋司に代わって、新しくHey!Say!JUMPの王道曲の制作を担っていくであろう存在である。Taka氏は、「FOREVER」「Through the night」などカッコイイ曲調との親和性が抜群で、これからのHey!Say!JUMPのカッコイイ路線を担っていくだろうと思われる。



Hey!Say!JUMP楽曲の詞は、こういった各時代の立役者を通して、独自の変遷を辿っていることが分かる。


続いて、作曲。
作曲の変遷も、作詞同様、大きく三つに分けられる。王道歌謡曲時代、融合ポップス時代、クール&ダンス時代と名づけて分類してみた。

王道歌謡曲時代

作詞における王道歌謡曲時代と同じく、2007~2008年頃の作曲サイドも、ジャニーズソング伝家の宝刀・馬飼野康二氏を据えた王道の歌謡曲がメインだった。初期のHey!Say!JUMPは、馬飼野楽曲の力に、頼りっぱなしである。シングル5作目までの内4作が馬飼野氏の作品である。馬飼野氏の狙い澄ましたような耳に残りやすいメロディーと独特の懐かしさは、まさにHey!Say!JUMPに持って来いのクリエイターであると言える。

この時期に、他の楽曲に携わっていたh-wonder氏、STEVEN LEE氏、BOUNCEBACK氏は、大きな波こそないものの、長きに渡って、または要所要所で起用されることとなる存在であり、グループの楽曲を多方面から支える三銃士である。h-wonder氏は、「Your Seed」「ガンバレッツゴー」など、個性的且つ、前向きな歌詞との親和性が高い楽曲を、STEVEN LEE氏は、「Star Time」「Thank You~僕たちから君へ~」「New Hope~こんなに僕らはひとつ」といった滑らかなバラード曲を、BOUNCEBACK氏は、「スクール革命」「情熱JUMP」「眠リノ森」など、独特の世界観が癖になる楽曲を、という具合である。

初期の頃から、カップリング曲やユニット(7)曲で比較的、幅の広い性格の楽曲をこなし、シングルでは、王道の馬飼野曲で攻めるという手法を取っていたようだ。

作詞サイドで大きな動きを見せた2010年。作曲サイドでは、馬飼野氏の楽曲は健在であるなど、大きな変化はまだない。作詞サイドでは挑戦的な姿勢を見せたアルバム「JUMP NO.1」も、作曲サイドでは、馬飼野氏と共に、初期の楽曲を支えた三銃士の楽曲が幅を利かせていた。素人であるメンバーによる作詞を支えるべく、曲をしっかり用意したのだろうと思われる。

融合ポップス時代

強固な王道歌謡曲時代に変わる新しい流れが見られたのは、2010年終わりに初起用された加藤裕介氏の台頭による*2。2010年、2011年の2年で3曲の楽曲に携わった加藤氏は、2012年一発目に発売された「SUPER DELICATE」で、表題曲の作曲者に上り詰めた。

加藤氏と同じ時期に、バンド曲要員として起用された原一博氏、カッコイイ曲要員として起用されたTommy Clint氏も、この時代を支えたキーマンである。

この時代の特徴としては、"多彩なジャンルの音楽に触れてきたバックグラウンドを持ったクリエイターがアイドルの楽曲を作ってみた"というような変化球な楽曲が多いように思う。実際、加藤氏はジャンルの枠に留まらない曲作りが特徴的だし、原氏もアイドルにしっかりとしたバンド曲を提供している。それ以外にも、この時期に発売されたシングル「OVER」では、オーケストラ(特に弦)サウンドが取り入れられているし、「Magic Power」では、メンバーが初めてバンド形式のパフォーマンスにも挑戦していた。

あくまで、アイドルの歌う楽曲というのをベースに、個性的なクリエイターが持ち前の音楽センスで遊び、様々なジャンルを融合したポップス音楽を生み出した時代と言えるのではないだろうか。

クール&ダンス時代

Hey!Say!JUMPに大きな変化のあった2013年。10thシングル「Come On A My House」では、5thシングル「瞳のスクリーン」以来となる馬飼野康二氏の登板という歴史的事件が起きた。馬飼野氏の起用で、作曲サイドも王道や正統派に戻るかのように見えるが、このシングルのカップリングでは、これまでのイメージを覆す、バリバリ踊るカッコイイHey!Say!JUMPの姿があった。
カッコイイHey!Say!JUMP代表曲「BOUNCE」の作曲を担当したのは、アルバム「JUMP WORLD」で「Hurry up!」の作曲を手掛けたTommy Clint氏である。この曲をきっかけにHey!Say!JUMPのカッコイイスイッチがONになった。

次に発売されたシングル「Ride With Me」はそのカッコイイを前面に押し出し、ダンスにも力を入れて魅せた。

カッコよさ、大人っぽさをテーマにした3rdアルバム「smart」に収録された「FOEVER」、「ウィークエンダー/明日へのYELL」のカップリング「Through the night」の作曲を手掛けたのもまたTommy Clint氏である。

また、「ウィークエンダー」の作曲には融合ポップス時代に貢献した原一博氏が起用されているなど、カッコ良く且つキャッチーさのある楽曲だったり、雰囲気をもった楽曲だったりが多く登場し、新時代が到来した。




というように、作詞、作曲それぞれが独自の、時にバランスを取った変遷を辿り、時代を経て、2015年。
今年発売されたばかりのアルバム「JUMPing CAR」の制作陣はこのようになっている。

作詞
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王道歌謡曲時代を支えたma-saya氏、個性派乱立時代を制した亜美氏と森月キャス氏、正統派キャッチ―時代をけん引するVandrythem氏、オカダユータ氏、Taka Ruscar氏
と、各時代を彩った覇者たちが名を連ねていることがお分かりいただけるだろうか。

作曲
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作曲は、作詞と異なり、全体的に次の時代を作るであろうクリエイターを早くから試し、上手く行った方が時代をけん引してきたパターンが多い(加藤氏、原氏がその例)。そのため、今回のアルバムも、要所要所で、長期的にHey!Say!JUMPの楽曲としての成果を上げた人が制作に携わっているような傾向がみられる。また、今回触れなかったが、特定の時期に多く楽曲に携わることはなくとも、長きに渡って楽曲制作に携わってきてくださった方や、作詞・作曲の枠を超えオールマイティに貢献してくださった方(宮崎歩氏、清水昭男氏、磯崎健史氏etc)の起用も特徴的である。


制作陣のラインナップから考えるると、10周年を手前に、ベストアルバムならぬ、ベスト制作陣アルバムが制作されていたということになる。


今回、楽曲の制作陣を分析してみて、意外と戦略性がある・・・?と、一番に思った。そしてそれは、グループの戦略(歩み)と共に変化していることも確認できたような気がする。
また、今回お力添え頂いた「JUMPing CAR」の制作陣の中で、今後のHey!Say!JUMPの楽曲の一時代を築いていくであろうクリエイターとして、Koudaiii氏という方に今後注目してみたいと思う。Hey!Say!BESTの「スルー」で初起用となった直後であるこの「JUMPing CAR」で、「SHen SHera SHen」「Very Very Happy」を制作され、2015年初起用にも関わらず、既に3曲に携わり、さらに作詞、作曲両方こなすという器用なクリエイターである。超有望。そして、今後も亜美大先生にはお世話になっていきたい(笑)。以上、超個人的な推測と希望でございました。

最後に、これまでの楽曲と制作陣の一覧を貼っておきます。解像度がクソな上に、スクショ以外方法知らなくて、ズレまくり大変な仕上がりになっておりますがご容赦下さいませ。いつか改善します。気になる方はネットで調べれば一発です(笑)こんな便利なサイト→ジャニーズ楽曲データベースもあります(最新版ではなさそうですが)。


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本当見づらくてすみません。エクセルデータ配布しましょうか(笑)。
全然暇じゃないのにこんなもの作って、バカだとおもっています、我ながら←

*1:2009年。『別冊宝島1665号 音楽誌が書かないJポップ批評62 ジャニーズ超世代!「嵐」を呼ぶ男たち』

*2:個人的に好きな作曲家さんです