門限の9時

ここに無い魔法 帰りの電車

「カラフト伯父さん」感想

 

 
 
そのまなざしに何を映す?
 
 
ちょうど1年前、主演舞台をやっていた光くんは期間限定の連載「光る日常」をそれはそれはマメに更新してくれていて、そこには丁寧に自分の気持ちを綴ってくれていた。そんな光くんの気持ちも理解した上で舞台を観劇出来たのが凄く贅沢に感じた。
 
 
今回、伊野尾くんが主演舞台をやると聞いて観劇するまで、実感が全くなかった。
伊野尾くんが主演舞台をやっていることも、自分が伊野尾くんの舞台に振り込んで、ワクワクしているということも、自分のことのようではないように感じていた。1番の原因は、ちょっとした手違いで当日会場でチケットを受け取ることになってしまったからかもしれないが(苦笑)*1
 
就活して、サークルして、バイトして、普通の生活の中に伊野尾くんの舞台が紛れていて、でも舞台を楽しみに生きている部分もあって、それはそれは「さすが伊野尾くんだ」と思ってしまうような感じだった。
 
いのお作文に光る日常ほどのマメさを期待していたわけではないが、「これを読んで舞台を2倍3倍楽しんで!」というコンテンツだと思っていたおかげで、変な先入観や決めつけを持てなかった。持たずに楽しめた。
 
 
ラジオの声から始まる舞台。
主人公が姿を見せ、無言のまま、ラジオを切ると無音のまま、全ての視線が舞台上の主人公に向いていて、向くしかなくて不思議だった。
 
目に映る物だけで何かを考えなくてはいけないと思ったが生憎何も考えられず、ただ舞台上の彼の行動に目を奪われていた。
 
特に変わった動きなどしていない。
どこかの町工場のどこかの日常。
 
 
ソファに腰掛けぼんやり遠くを見つめる彼は、何を見ているのだろう。
彼を演じる伊野尾くんは何を見ているのだろう。何を思っているのだろう。
 
 
終始それから何かを見出すのに必死だった。
 
 
そして、気づいた。
アイドルの舞台の醍醐味を。
私はアイドルの舞台に、何を求めているのか。
 
演技力、普段と違う表情、アイドルではない部分………
 
 
違う。
むしろ、そういう部分からいつものアイドルの姿を、普段のアイドルを見出すことだ。
 
 
いのお作文は光る日常のように、自身の気持ちを事細かに綴るものではなかった。伊野尾くんはそういう人ではない。
でも、舞台の上に立っている伊野尾くんと私の知っている伊野尾くんは、同じ伊野尾くんなわけで、でも、徹という役があるから、普段と違うあの舞台に立っているわけで。
 
 
うまく言えない。
 
 
 
分かったことは、伊野尾くんが何を考え、何を思ってステージに立っているのか知りたいと思っていたけど、それはさほど重要なことではなかったということだ。
知るということも楽しいことだ。しかしそれ以上に、自分の知っているものを今、どう見出して、どこで繋げて…そういうことを考えて見ることが楽しいと思った。
 
 
徹という役があるから、普段と違って当然だし、私の知らない伊野尾くんがいるのも当たり前だ。
そんな姿を見て、その姿になるまでの過程を想像する。
 
連ドラも撮影している、もちろんこの舞台の稽古もしていた、リトラもあった、らじらーも(ここ3週休んでいたけど)あった、取材もあった、JUMPの活動もあった。
 
舞台の上に立つ伊野尾くんに心の中で問いかける。
何を思っている?どんな気分?
どこかにそれを垣間見たい気持ちで見入る。
 
 
何を見てる?何を思ってる?
楽しい?嬉しい?悲しい?辛い?
 
 
役という仮面で見えない部分をなんとか見たいと葛藤する時間が好きだと思った。
もちろん答え合わせも大好きだ。
 
 
聞いたこともない太い声や強い言葉遣い、徹の抱える複雑な気持ち。
全てが、Hey!Say!JUMPの伊野尾くんを通して私の元に届いた。
そこを通り抜けるとき、どんな気持ちや想いでそれらが形作られてきたのか、なんとか汲み取りたい、想像でも妄想でもなんでもいい。
 
でも、それらは本人とは全く関係なくて、努力や練習を経て取り込まれ、緊張や不安を超えて形になる。
 
 
舞台に立つ伊野尾くんの姿を見てそんなことを考えた。
 
 
その目に何が映っていた?
舞台からどんな景色が見えた?
何を考えた?
何を思った?
 
 
 
そのまなざしに何を映す?
 
 
 
Can you hear voices of a pray?
 
 
 
 
叶わぬ願いかもしれないけれど
山田くんにも舞台を経験してほしいと思いました。
叶わぬ願いかもしれないけれど。
 
 
「カラフト伯父さん」
クスッと笑えるシーンもあってとても楽しかった。
最後の徹が本心を打ち明けるシーンは圧巻だった。
 
何かを背負う人、それを支える人。
何かを与える人、それを受け取る人。
 
お互い補い合っているのかもしれないけど、やっていることは全く逆だ。
前者は後者の気持ちを分かりたい、後者も前者の気持ちを分かりたいと思う。
同じ時、自分とは違う気持ちを抱いているからだ。
 
輪のようにはなれないのかもしれない。
単純に見えてすごく高度なことなのかもと思った。
 
 
明日でいいや、も悪くないと思った
いつかでも、これからでも悪くない
とにかく少しでいいから進みは止めない
と今は思っている
今、ふと思った
 
 
 
 

*1:郵便の再配送手続きし忘れ→発送元へ返還。簡易書留要注意ww