門限の9時

ここに無い魔法 帰りの電車

まゆゆは可愛くて美しくて、カッコいい。

まゆゆが1位になった。とうとうまゆゆが1位になった。1位になってくれた。

 
 
私は第1回総選挙の時から渡辺麻友が1位になる日をずっと夢見ていた。6年越しに私の夢が叶った。第2位の発表の時、私の耳がHKTという単語を聞き取った瞬間、勝利が確定した。涙が溢れた。今まではいつもいつもダメだった。頂点が射程圏内だというのに、まゆゆが頂点に立つ姿を何度も夢見ていたのに、毎年ダメだった。まゆゆ単推しの身としては、「なんでまゆゆが1位じゃないんだ」と毎回思った。やり切れない、納得できない。前田敦子が卒業してからはより一層その思いは強くなった。なんで渡辺麻友が認められないんだ。まゆゆ以外のセンターは考えられないと。
 
 
 
でも今年はとうとう王座を手に入れた。まゆゆを1位に押し上げたヲタにありがとうと言いたい。そして、今まで頑張ってきたまゆゆにもありがとうと言いたい。推しメンが1位になると、こんな素敵な景色が見えるのかと、こんな景色を見せてくれたまゆゆに感謝しかない。おめでとうありがとう。
 
 
今年の総選挙で渡辺麻友が1位になることには、とても意味がある。価値がある。
 
AKB、SKE、NMB、HKTの力が拮抗する、まさに48グループ戦国時代に姉妹グループの勢いに押され、一番新しいHKTに王座を奪われている中、AKBという本店に王座を持ち帰らなくては、天下をAKBが獲らなくては、というプレッシャーの中での1位。
 
主力や中堅が次々に移籍をした中、AKBの看板のみを背負って勝ち取った1位。
 
正統派アイドルが辿り着いた1位。
 
20歳にして、過去5回の総選挙全てに上位5位以内に入り続けている唯一のメンバーとしての1位。
 
そして、無冠の女王が6度目にして手にした1位。
 
 
 
 
第1回総選挙から神7に居続けているのは渡辺麻友ただ一人である。しかも毎回5位以内に入っている人気と実力を持ち、いつ1位になってもおかしくない状況に居たにも関わらず、今まで1度も頂点に立てなかった。前田敦子が君臨していた時代は仕方ないとはいえ、3期生として加入直後のシングルからセンターに立つことも多く、なかなか触れられることはないが、15歳からグループの上位メンバーとしてのプレッシャーを背負ってきたのである。次世代でありながら、AKBの歴史を作り上げてきた功労者でもある。しかし、まゆゆが1位に近づけば近づくほど、1位がそっぽを向く。なかなか報われずもどかしい思いもしてきた。「1位になりたい」と公言してから悪戯にさらにそれが顕著になったように思う。
 
 
 
そんなまゆゆは去年、総選挙のスピーチで「センターになることは難しいことかもしれない。けれど、センターとしてファンのみなさんに認めてもらうことが一番難しい」と言った。
 
 
正統派アイドルが認められないなんてどんなアイドルグループだと、ヲタを何度見損なったことか分からないが、主観的に見ても客観的に見ても、一番報われるべきメンバーであることは間違いなかった。それだけの人気と実力があるにも関わらず、あと一歩のところで悔しい思いをする。まゆゆは涙を見せず笑顔を貫きアイドルの面子を保ってきた。まゆゆが笑う度に、何度胸が締め付けられる思いになったかわからない。
 
 
正統派じゃ勝ち上がれないと分かっていながらも正統派を貫くまゆゆの姿はとにかくいつもカッコ良かった。まゆゆ自身が好きだったアイドルグループとしてのAKBを取り戻したいという思いは彼女の笑顔やパフォーマンス一つ一つから痛いくらいに伝わってきた。
 
 
 
そんなまゆゆがとうとう1位になった。しばらく涙が止まらなかった。でもまゆゆがセンターに選ばれたことでAKBは大丈夫だと思った。今のAKBにはまゆゆがセンターに立つことに意味があると痛感した。
 
 
 
AKB48グループは私が守る」
 
 
まゆゆはステージを去る際、こう叫んだ。そうだ、AKBは本来もっと前向きで、等身大でキラキラしていたアイドルだったはずだ。
 
 
夢が叶ったと思ったら、渡辺麻友は連覇を見据えていた。「AKBの未来を見上げる」。きっとまゆゆはセンターの先を見ている。どんなに時間が掛かっても素敵な景色を見せてくれる。見せ続けてくれる。1度切りの人生をAKBに捧げる心意気がやはりカッコいい。第1位発表の前、客席から割れんばかりのまゆゆコールが起きたのは鳥肌が立った。正統派アイドルの天下統一を待ち望んでいたかのようで感動した。
 
 
ようやく報われた。やっとか。ここまで辿り着くのに6年も掛かってしまった。でもこの遠回りは、確実になくてはならない6年だったんじゃないかと思う。誰もが認めたセンター。素敵なセンターにしてください。
 
 
 
前田敦子が天下を取っていたAKB第一章、48グループ戦国時代を経て、渡辺麻友が天下を統一した今、ここから第二章のスタートだ。無冠の女王とは言わせない。
 
 
これが渡辺麻友だ。これがまゆゆだ。これがAKB48だ。
 
 
本当におめでとう。そして本当にありがとう。これからもまゆゆらしく頑張れ。